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佐藤正尚 南礀中題

1/30

NHKが歴史戦という言葉を使っていて、新しい歴史教科書の活動の結果の延長で、軍艦島をめぐっての諍いと同じことがまた起こっていた。リベラル人文知識人が背中に冷や水をくらおうが、あの運動に内部に当初から参画し、リベラル系の政党との連携をするしかなかったのだが、そんなことは決して出来なかっただろう。というよりむしろ、真に危機的な運動体に対して内部から変えていくことが、この国ではなぜできないのかについては、近代日本の思想状況の問題であり、それはいまアメリカでも似たような状況が起きているため、現在的な問いにもなる。

2022年3月号、つまり今月の『Are you happy?』で70年台に左翼運動家の学生だったと名乗る女性のインタビューが載っていた。

批判ばかりで、何の責任もとらない卑怯な心。不平不満や嫉妬を正当化しようとする奪う愛の思い。それは決して自分も人も幸福にしない考え方です。また、先の大戦で戦った英霊たちの霊言を聞いたときには、涙があふれて止まりませんでした。(中略)それは、私のなかに眠っていた愛国心が目覚め始めた瞬間でした。以来、私は左翼的な風潮が色濃い北海道で、信仰心と愛国心を広めるため、活動を続けています。

『Are you happy?』、2022年3月号、35頁

三拍子揃った左翼批判保守・右翼賛美で中身はほとんどない。しかし、70年代活動家たちが彼女の息子を共有財産だとして奪い去ろうとした話など、敵対者の暴力性の強調でしかないが、なかなか読ませた。付き合っていた男性と逃れた先が北海道だった、ということだそうだが、勤め先も北海道だそうで、時代証言として、かなりバイアスがあるとはいえ読ませた。映画『愛国女子』のキャンペーンや釈量子のインタビューも載っているが、母としてという保守的なフレーズや、そもそも大川という男性を中心としたヒエラルキーで女性の活躍も何もないが、あるいは娘が総裁になれば状況が変わるのだろうか。近年、宗教団体も不景気のあおりを受けて露骨に保守・愛国路線を強調している。戦前の宗教団体の右傾化との比較も考えると、今後も目が離せない。フェミニズム新宗教はありえるのか。

ウエルベックがまだ入荷されていないなら注文しようかと思い、紀伊國屋洋書部へ。注文しているそうで、売り切れになる可能性もあるからということで予約。たぶんAmazonフランスで個人輸入した方が早かったのだろうが、読む時間がないので、べつにいいやとなった。

ハンズで新しいコーヒーミルを買った。ついでに、有田焼のフィルターを購入。使ってみたが、たしかに便利だった。早速マグで二杯飲んでしまった。

抱えている小説の執筆部分を整理した。友人と共作で、彼発案の名義で出す予定。他に個人的に短編を書いているそうで、プロットの相談もした。面白い作品になりそうだ。

研究の整理もしたが、引用部分の整理で終わってしまった。早く執筆資格審査の草稿を仕上げたい。

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1/29

自分で縫った着物を来て新春の催しに出る。初めて百人一首カルタ取りをしたが、全く覚えておらず、参加者がそれぞれ上の句だけで普通に下の句を取っていて驚いた。

文春オンラインでDr.ハインリヒがインタビューに答えていて、面白かった。さやわかのカルチャーお白洲で聴いてはいたが、漫才を実際に見たことがなかったので視聴した。結構笑ってしまった。

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1/27

Covid-19の感染症流行を気に人は忘れているが、後遺症の残る他のさまざまな感染症はいまでも根絶されなていないし、今後も完全に駆逐されることはないだろう。

一年後に正反対のことを言えるくらいでないと、学んでいる人とは言えないのかもしれない。

人文界隈によれば、ポリコレのレポートが増えて、しかも単なるモラル批評らしい。しかし、テマティーク、新歴史主義、マルクス主義、カルスタの型に当てはめた読解という名のモラル批評はずっとあるので、作品を読む技術やモラル批評しかしていない点を批判するのではなく、型をどれだけ守れているか、そこに型があるのかを論じるに私なら持っていくなと思った。https://twitter.com/kyohhei99/status/1486566145784442881?s=21

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1/24

丁寧に読んでいた論文をやっと読み終わる。

仕事に対する心理的な抵抗が出ている週で、寝不足。

『認識と反省性』を早く読んでしまいたいのだが、著者もなかなかスケジュールが大変だったようで、誤字脱字、論述のまとまりのなさが気になる。一方で、中身は大変勉強になる。ある意味で、こうした本は完璧を目指して二の足を踏みがちな精神を楽にしてくれるので嬉しい。

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1/22

ホーツーニェン展に行く。大変良かった。妖怪国体という名前のキャラクターもいる作画を北朝鮮のアニメーション会社が下請けしているらしいので、感慨深い。旅館のアポリアのThe Voidについてもさらに解像度高く理解できた。床の間、不毛な回転、風、無。

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1/19

午後から仕事先。ストレスでそれ以上その場にいたくなかったので駅のカフェで会議、その後作業したまま終業。

週末にホーツーニェン展行くため、ぷらっと東海で5000円ほど安く新幹線の券を手に入れた。

図書館で資料受け取り。最近、研究が進まないのでストレスを感じる。

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1/19

行く川の流れは絶えねども、仕事は虚無なり。

スパイダーマンホームカミングを家人とみる。いまからするとMJの隠キャぶりがオタク心をくすぐる作りになっていることがよい。

最近、スイッチが入ってないので、朝早く起きて研究会準備などをしたい。

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1/17

労働は果てしない。

家人がセールでワインを4本買ったそうなので、店近くで合流して、近くのアラビア料理の店に持ち込んで飲み食い。Calebiancheの白。ワインが美味しすぎて一本空けてしまった。フムス、ラムのラップ、ババガヌーシュも大変美味しく、労働の疲れを忘れた。

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1/16

徹夜で飲み、6:00頃に帰宅。14:00まで寝る。風呂に入ってから、民藝の100年展にいった。

いい展覧会だった。画集は今後活かすことができなさそうなので買ってはいないが、『工藝』のオマージュとなっているしっかりした製本だったので、その手の人には必須のアイテムだと思う。

民藝運動の直前期、我孫子別荘ブーム時代の柳が朝鮮の焼き物に興味を持ち、バーナード・リーチと交流があった時の話から、戦中を挟み、柳の死後の民藝運動について広く扱っていたが、構成といい資料の面白さといい、年初から素晴らしい展覧会を見ることができた。

知らなかったことで一番印象的だったのは、民藝運動をやっていた柳としては、当時の貧民救済のための工芸品作りに対して、伝統的な意匠が失われるために反対していたということだった。晩年、美の法門の境地にいたった柳は、このときの自分の中の美の境界について、何を思っていたのか。

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1/15

シールズを先行世代が評価するのは「昔の自分を褒めたいだけなのでは」と思っていたが、呉座・辻田・与那覇鼎談を見て、大体みんな同じことを考えていたのだな、と思った。左派的史観が事実検証を歪めたり、ロジックが極端になるのはわかるけれども、私もナショナルヒストリーで育ったので、もっとまともなナショナルヒストリーを次世代に読んで欲しいと思う。

この手の話を聞くと、セットで新書フォーマットで、おそらくは実学的ではない本が広く売られている国自体が珍しい、という意見については、少し思うところがある。まず、日本の出版文化自体が極めて特殊な成立をしているので、新書的なものは、みんな大好き欧米にもたくさんある。ただし、学者よりもジャーナリストの肩書きをもっている人の方が強い、という点が欧米的な特徴な気がする。フランスでは、クセジュ文庫などすぐに例に出されるが意外に教養書的なものが多い。ただし、日本で新書について語る人がほとんど歴史系の人、というのは日本における一定の趣向がでているのかもしれない。

違う相手の意見も載せる論に対しては、でも面白い話をするフェミニストの意見とか載せるんですか、とは思ってしまう。党派的でなく活動するのも、めぐりめぐって形式的には結局は党派と同じなので、実際にそういう場を作っていかないといけないのだろう。

シスターフッドがあるように、ブラザーフッドはあるはずなのだが、いつからそれはホモソーシャルになるのか。境目とは何か。