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佐藤正尚 南礀中題

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NHKが歴史戦という言葉を使っていて、新しい歴史教科書の活動の結果の延長で、軍艦島をめぐっての諍いと同じことがまた起こっていた。リベラル人文知識人が背中に冷や水をくらおうが、あの運動に内部に当初から参画し、リベラル系の政党との連携をするしかなかったのだが、そんなことは決して出来なかっただろう。というよりむしろ、真に危機的な運動体に対して内部から変えていくことが、この国ではなぜできないのかについては、近代日本の思想状況の問題であり、それはいまアメリカでも似たような状況が起きているため、現在的な問いにもなる。

2022年3月号、つまり今月の『Are you happy?』で70年台に左翼運動家の学生だったと名乗る女性のインタビューが載っていた。

批判ばかりで、何の責任もとらない卑怯な心。不平不満や嫉妬を正当化しようとする奪う愛の思い。それは決して自分も人も幸福にしない考え方です。また、先の大戦で戦った英霊たちの霊言を聞いたときには、涙があふれて止まりませんでした。(中略)それは、私のなかに眠っていた愛国心が目覚め始めた瞬間でした。以来、私は左翼的な風潮が色濃い北海道で、信仰心と愛国心を広めるため、活動を続けています。

『Are you happy?』、2022年3月号、35頁

三拍子揃った左翼批判保守・右翼賛美で中身はほとんどない。しかし、70年代活動家たちが彼女の息子を共有財産だとして奪い去ろうとした話など、敵対者の暴力性の強調でしかないが、なかなか読ませた。付き合っていた男性と逃れた先が北海道だった、ということだそうだが、勤め先も北海道だそうで、時代証言として、かなりバイアスがあるとはいえ読ませた。映画『愛国女子』のキャンペーンや釈量子のインタビューも載っているが、母としてという保守的なフレーズや、そもそも大川という男性を中心としたヒエラルキーで女性の活躍も何もないが、あるいは娘が総裁になれば状況が変わるのだろうか。近年、宗教団体も不景気のあおりを受けて露骨に保守・愛国路線を強調している。戦前の宗教団体の右傾化との比較も考えると、今後も目が離せない。フェミニズム新宗教はありえるのか。

ウエルベックがまだ入荷されていないなら注文しようかと思い、紀伊國屋洋書部へ。注文しているそうで、売り切れになる可能性もあるからということで予約。たぶんAmazonフランスで個人輸入した方が早かったのだろうが、読む時間がないので、べつにいいやとなった。

ハンズで新しいコーヒーミルを買った。ついでに、有田焼のフィルターを購入。使ってみたが、たしかに便利だった。早速マグで二杯飲んでしまった。

抱えている小説の執筆部分を整理した。友人と共作で、彼発案の名義で出す予定。他に個人的に短編を書いているそうで、プロットの相談もした。面白い作品になりそうだ。

研究の整理もしたが、引用部分の整理で終わってしまった。早く執筆資格審査の草稿を仕上げたい。