2024年の初頭に、向こう3年の計画を公開した。2年目が終わろうとしているので、レビューしたい。前回の記事は以下の通り。
レビューは以下で評価した。
●: 完了 ▲:進行中 ✖︎:未着手
前回は活動名で振り分けていたが、全体像がかえって曖昧になっているので、仕事の種別ごとにわけた。
来年度の依頼を受けている仕事は、自分から展開できる内容ではないので、以下には掲載していない。
いくつか新しい仕事も追加している。その場合は🆕をつけている。
フヒトベ社について
●2024年1月 メディア事業者である合同会社フヒトベを登記。→21月に登記完了。2月1日を創立日とした。
●2025年1月 YouTubeチャンネルTERECOの運営
→経費は回収できていないが、売上は継続的に微増している。ゲストで鮎川ぱてさんや田崎英明さんをお呼びするなど、独自の色を出せている特殊な批評チャンネルになっている。このTERECOの方針でいくと、チャンネル登録者1万人が市場規模だろうと推測している。現在、400人程度なので、市場の4%シェアとみなせる。2026年には配信回数が増えるはずなので、500人を超えてメンバーシッププランを開始予定。
●2024年12月 年刊雑誌『そらみつ』の発刊
→無事刊行した。Amazonで好評発売中。 創刊号の総売上は少ないが、本当に面白いものを作れたと思っている。資金の目処がつき次第、第2号を刊行する。テーマは「おそれ」。
✖︎2024年2月末ないし3月中旬 不定期更新オンライン文芸誌『うまこり』をローンチ。
→2026年4月 掲載予定のものはどんどん溜まっているが、処理できていない。WordPressからの脱却を考えているが設計をする暇がないので、停滞している。2026年のメインの仕事となりそう。
●2024年6月 『批評なんて呼ばれて』の普及版『批評なんて呼ばれた』をフヒトベより刊行。手紙形式ではなく一人称形式にし、構成も一部見直す。
→『批評なんて呼ばれて』は書き直さないことにした。その代わり、紙を一般的なものにした普及版を刊行している。直販のみなので、文フリなどで買ってください🙇
🆕2026年8月 ゲームと音楽のレーベルについて正式発表する。すでに名称は決定しているが、デザインや社内設計の準備ができていない。
研究について
●2024年4月 アルフォンソ・アレとパヴロフスキーの系譜学的な読解についての論文。Julien Schuhの象徴主義におけるセナークル論とDevin Griffithsの科学アナロジー論を統合し、作品分析をするもの。
→2025年12月 この論点を含む論文を提出済。論文にはGriffithsの論点は入っていない。論文の長さでは展開できなかった。博論では追加予定。
✖︎2024年5月 19世紀末から20世紀初頭のフランスにおける科学と哲学における原子論、および創作における原子表象の差異についての論文。
→全く着手できていないが、そもそも博士論文において、論文化するほどの調査が不要なことも判明。この論文は書かない。
✖︎2024年9月 スピリチュアリスムにおけるUnité概念と反知性(l’anti-intelligence)の同時代受容における同質性についての論文。
→2026年3月 できてない。こちらはできていないのがまずい。
▲2024年10月 ガストン・ド・パヴロフスキー『額の中の皺』のユーモア表現についての論文。ただし、必要な資料の一部について、フランスに資料閲覧を行く必要があり、渡仏できない場合はこの論文については発表できない。
→2025年12月 渡仏して第一次世界大戦と「同意」の問題について理解したので、その線で分析予定。
▲2025年3月 余裕があれば、パヴロフスキーにおけるユーモア概念の変遷および戦時下におけるユーモアの意義を問う論文。
→2025年12月 ユーモアの定義あたりについてなどの精査はできている。ただ、アイロニーとの違いなどについて論理的な詰めが緩い気がする。風刺文学の論証のイロハをもっと知る必要がある。
✖︎2025年6月 デジタル・ヒューマニティーズと批評理論を統合する理論的枠組みをする論文。査読誌はおそらく『言語態』。
→2026年12月 めどが立っていないが、博士論文に集中している間は執筆しない。論文にする意味もないかもなので、「うまこり」に掲載するかも。
✖︎2025年10月 博士論文「ガストン・ド・パヴロフスキーの思想の全体像の解明」を機関に提出。口頭審査後、一般公開。
→2026年10月 がんばる。
✖︎2026年5月 出版社がとくに決まらない場合、自社であるフヒトベ(下記を参照のこと)から僅少部数(500部程度?)で博論を一般向けにして出版予定。題名は未定。
→2027年5月 がんばる。
創作
✖︎2026年6月 小説『負債の星』をフヒトベから刊行。経済批評の実践として債券・仮想通貨・人工衛星をテーマに小説を刊行。
→2026年12月 小説書くの面倒なので、もしかしたら、個人でゲームにするかも。テキストADVにできたら面白い。
▲2025年8月 合同会社イースニッドよりADV PCゲーム「アイリス・オデッセイ第一作 『パンドラの少女』 」を発表予定。米原はプロデューサー、ナラティブデザイナー、演出効果で参加。ゲームはsteamで販売予定。
→2026年某月 イースニッド社の販売予定案内をご確認ください。
🆕2027年12月 インディーゲーム規模のホラーゲームの販売。AIの登場によって自分でコードを書いて、自分でデザインして、自分でモデルを作って、非常に安価にゲームが作れるようになったので、ぜひ挑戦してみたい。ゲームシステムのアイディアはあるので、シナリオを詰めていきたい。
批評
✖︎2025年4月 タイトル未定の批評文化論についての本をフヒトベより刊行。『批評なんて呼ばれた』は2010年代の個人的な回想だったのに対して、こちらは1980年代から2010年代にかけての批評史をインターネットインフラの発展やソフトウェアエンジニアリングの技術変遷などを踏まえつつ、ジャーナリスティックな手法でまとめる予定。刊行が間に合わない場合、『うまこり』などで連載予定。
→2028年1月 「この国のかたち」みたいなタイトルの思想の本を書きたい。そこには私の理論的な基盤を全て整備するような本にする。やはり、人文を愛しているのであれば、L’Être et le NéantやThe Claim of Reasonのような本を一度は書いてみたい。
▲2026年4月 フヒトベより、音楽批評集『恋は二度死ぬ、あるいは死なない』を刊行。『うまこり』で個別に販売することも考えている。現在予定してる目次は以下の通り。
→ 2026年12月 博論に集中したいので、そこまで書けないかも。以下の進捗。
✖︎恋は二度死ぬ、あるいは死なない ― aikoについて
→これは書くだけ。
✖︎リズムの哲学者 ― 山下Topo洋平について
→これは書くだけ。
✖︎世界が終わるほどのロック ― チャットモンチーの世紀末的感性について
→アプローチ変える。ガールズバンドの文化史みたいなのがいいと思っている。
✖︎踏むのは手続きと韻だけ ― 短歌とラップについて
→あんまり書く気がなくなったので、執筆しないものとする。テーマの前提が間違っていた。
✖︎最初から最後の恋 ― 宇多田ヒカルについて
→執筆することをやめることにした。私はうまく書けないだろうから。
▲ミス・アメリカーナの肖像 ― テイラー・スウィフトについて
→BRIDGES Vol.2にて、構想部分だけは発表。
▲アイロニーのアメリカ人 ― エミネムについて
→BRIDGES Vol.2にて、構想部分だけは発表。
▲2026年12月 アニメ批評集を刊行。「声と死と」・「シャフ度の系譜学」といった米原初期の批評を完全にリバイズ。その他、3DCGアニメ論、ミュージカルアニメ論を執筆する予定。
→2027年3月 アニメ批評というよりゲームやアニメなどの様々なコンテンツを横断するものにしたい。いよわ論でアニメーションのMVについて論じた。3DCGについてもっとかんがえないと書けなさそう。また、ラマールの読解を通じたアニメ批評の理論的更新をしたい。
総評
進捗率は33%。原因としてはイースニッド社開発のゲームに関する業務が非常な負担となっていたことがあげられる。当初はナラティヴデザインとアーティストのブッキングと事務周りだけの予定が、プロジェクトマネジメント・音源監修・スクリプトもやることになり、本業と合わせてあまりにも忙しかった。
そうしているうちに、計画の発表から2年が経った。最近の健康診断によると、前回から体重が2キロ減り、体脂肪率が10%となり昨年比10%減だった。睡眠不足でも以前は仕事ができたがもう全然できなくなってきている。疲れが溜まりやすくなった。そのようにして死を感じたので、最近は忙しさに甘えてしていなかったキャリステニクスを本格的に再開し、食事を増やすようにした。
とはいえ、2024年から2025年にかけては、初めての韓国旅行、台湾でのビールバー巡り、奈良から京都への徒歩縦断、フランス滞在研究、フロムゲーのやりこみ、などなど、人生でいつか振り返るだろう充実した時間もたくさん過ごせた。
2026年に向けて、体力回復を意識づけたい。